PSO〜ベヒ−モス・インパクト〜 |
片桐/ 著 |
| 災難だ、とヒュ−マ−のジャンクは呻いた。 とある骨董品の奪還依頼を受けて違法骨董品を闇市で売り捌いていたヒュ−マ−を追跡し、チャイナタウンを連想させるパイオニア2中央通り二番繁華街で追い詰めたまでは順調だった。 しかし、追っていたヒュ−マ−が目的の骨董品の壺を叩き割り、その壺の中から無色のゲル状の状態で現れ、しかもヒュ−マ−がそのゲル状に喰われた瞬間からジャンクの災難が始まった。 目の前にいるのは紅い人形。 紅いゼリ−を人間の形に切り取ったように全身がプニプニと柔らかそうだ。 偶然通りかかった知り合いのヒュ−マ−のデュオが話すには目の前の紅ゼリ−の正体は至高の夜族の一種で精神獣ベヒ−モスの残留思念らしかった。 「デュオ。何故、紅いんだ?」 「恐らくアイツが封印から目覚めた際に喰ったあのヒュ−マ−が赤のセイバ−を持っていたからでしょう」 「そんなものなのか?」 「ベヒ−モスは本来獣を専門に取り憑いて精神を支配し凶暴化させる精神体なんですが何にでも例外は存在します。この私のようにね・・・・」 デュオは人間ではない。 本人が話すには彼は至高の夜族、通称《ナイト・ウォ−カ−》と呼ばれる化け物の中でも最も高貴な存在と言われる古吸血鬼の末裔らしかった。 だが、そんなことはジャンクには関係なかった。 目の前にいるデュオが何者でどんな過去の持ち主であろうが頼れる仲間であることに変わりはなかった。 ジャンクにはそれで充分だった。 「今からアイツを倒す準備をします。ジャンクさんはアイツの気をひいて下さい」 「判った」 デュオの言葉を聞きながらジャンクは疾駆。 アイテムボックスから赤のパチルザンを喚び出すと八相の構えを取りながら一気にベヒ−モス目がけて跳躍。 赤のパチルザンの穂先が左上方から右下方へと振り下ろした。 一気にベヒ−モスの身体が斜めに両断された。 「流石、精神体」 斬り裂いた次の瞬間にはベヒ−モスの身体は元の状態に戻っていた。 「ならっ!!」 ジャンクは臆することなく連続斬り。 ベヒ−モスの身体が細切れになるも次の瞬間には再生していた。 「不死身か・・・」 脇構えのまま間合いを離す。 後ではデュオが座禅を組みながら何やら唱えていた。 何をしているか判らないが今はデュオを信じるしかなかった。 ジャンクがベヒ−モスに詰め寄ろうかと構えを直した瞬間、ベヒ−モスが視認不可能なスピ−ドでジャンクに肉迫した。 紅くブヨブヨした手が赤のパチルザンの末端、石突の部分を掴むとジャンクごと頭上で振り回した。 「この、馬鹿力がっ!!」 ジャンクは身体を捻ってベヒ−モスの顔に蹴りを入れると同時に蹴りの反動を利用して後へと跳躍。 「デュオ!」 「行きます。ジャンクさん引いて下さい!」 デュオの言葉と共に前髪に隠れていたデュオの右眼が紅く光った。 ベヒ−モスの身体より紅くそして禍々しく光る。 突然ベヒ−モスが苦しみ始めた。 どんなに斬り裂いても痛がらなかったベヒ−モスが悶え苦しんでいる。 「ジャンクさん!」 「おおう!」 ジャンクはベヒ−モスに肉迫すると赤のパチルザンを上段に構え、振り下ろした。 ベヒ−モスの身体が唐竹割り然に一刀両断された。 「デュオ、何をした?」 「使い魔を使役しました。現世では数秒しか使えませんが効果覿面でしたね」 「・・・・・・らしいな」 紅色の粒子となって拡散していくベヒ−モスの身体を見つめながらジャンクは不謹慎にも目の前の光景を美しいと思った。 「それにしても・・・」 これで骨董品を取り戻す依頼が不意になった。 これでは契約不履行になってしまう。 「大丈夫ですよ。その依頼人に会わせて下さい。私から事情を説明しますよ」 デュオはジャンクの考えている事を悟ったのか屈託のない笑みを浮かべた。 当然だ、と口を開こうとしたがジャンクは止めた。 これからデュオが依頼人に何をするか知っているからだ。 ジャンクの災難はまだ終わりそうになかった・・・・・。 |
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| −あとがき− 如何でしたでしょうか? PSO読み切りオリジナル小説〜ベヒ−モス・インパクト〜でした。 初めに誤字脱字があったらスミマセン。 ジャンクさんのキャラに合っていたでしょうか? 私の超主観が入っているので少し変わっているかもしれませんがその辺はご了承いただけると嬉しいです。 さて、今回デュオが人間離れ(元々人間ではないですが)した行動をしていますが如何でしたでしょうか? PSOに相応しくないかもしれませんが少しオカルティックなモノが好きなもので・・・・ それでは、いつになるか判りませんが次回作を楽しみにしてて下さい。 最後にここまでご愛読して下さって有り難う御座いました。 |